Interview Sato Shinji
川上 :この番組は、地方創生、そして日本を元気にするをテーマに、さまざまな社会問題に取り組んでいるゲストの方をお招きし、問題点や解決に向けての活動などを分かりやすく皆様へお届けしています。ナビゲーターは、川上実津紀です。そして、MCは、合同会社社長のミカタ、CSOの佐藤伸次さんです。今月もよろしくお願いします。
佐藤 :よろしくお願いします。
川上:今日のテーマは「障がい者就労支援」です。本日のゲストをご紹介します。株式会社石富プロパティー代表取締役、中井健太さんです。よろしくお願いいたします。
中井 :よろしくお願いします。
川上 :中井さんは障がい者就労支援の分野で、一人一人に居場所と誇りを与える活動をされていると伺っておりますが、株式会社石富プロパティーについて、教えていただけますでしょうか。
中井 :福祉事業として、障がいのある方が自立するために共同生活を送る、共同生活援助といったグループホーム、あとは生活介護、就労継続支援事業の運営を展開しています。
川上 :素敵な活動ですね。中井さんが障がい者の就労支援に取り組み始めたきっかけを教えてください。
中井:駅で当時のお客様と待ち合わせしたとき、改札の近くで、障がい者の方たちが、クッキーやパンなどを販売していました。その様子が気になり、帰りも寄ってみました。すると数が減ってなくて、「この場所で売れていない。なぜだろう」と思い、声かけさせてもらいました。いろいろ売れるための提案をしたのですが、「来年からします」というのです。
佐藤:どうしてですか?
中井:今年考えたことを申請して、来年補助金が降りたらやるということでした。今すぐ改善できるのにと思い、もう自分で行うことにしました。また、妹や父親、祖父も障がいがあり、将来妹のためにという思いもありました。
川上:そういったところから始まって、障がいがあっても、「自分の力を社会で発揮できるような居場所を作りたい」という思いがあったのですね。
中井:そうですね。
川上:先ほど、楽屋でパラリンピックでメダルを獲得されたと伺いました。
中井:僕自身が獲得したわけではなくて、利用者さんがメダルをとりました。
川上:すごいですね。
中井:私は、利用者さんが、働くことや自分の好きなこと、夢に向かってやることに対して、自己肯定感を持って、家族とか地域とか、いろいろな人に必要とされるような存在になってほしいと考え、大事にしています。そのために、僕たちもそのためにお手伝いできたらなと思っています。
その中で、スポーツで世界を目指したいという人に出会いました。ただ、目指したいけど、どうしたらいいかわからないということで、一緒に競技について調べました。今回は、陸上のトラックの1500mと5000mの選手だったのですが、その中で必要な資金を集め、社員がコーチや監督をするなどしました。
佐藤:すごいですね。
中井:10年近くかかりましたが、その方は、東京パラリンピックで、銀メダルと銅メダルをとりました。
川上:おめでとうございます。
中井:ありがとうございます。やはり、ヘルパー業界は地位が低いため、チームで世界トップになることで、みんなに認めてもらえるのではないかと考えています。
川上:すごいですね。素朴な疑問なのですが、チームの運営費はどうしているのでしょうか?
中井:それこそ、企業のパーティーなどに呼んでいただいて、そこで僕らの思いを伝えています。その中で佐藤先生もそうですが、賛同してくださった企業の皆様に、スポンサーになっていただいています。周りの皆さんが力を貸してくれているという形です。
佐藤:私も話を聞いて、やはり自分にできることもあると感じ、サポートをしています。
川上:応援の輪は、広がっていくのですね。そして、スポーツの業界以外でも、挑戦されているジャンルがあると伺いました。
中井:そうですね。つい先日、関西万博の方で、パラアーティストのMUSASHIさんの「世界のMUSASHI個展」を行いました。47都道府県の障がいがある方やそのご家族、子どもたちと作品を作り上げました。
川上:すごいですね。
中井:また、食の分野では、後継者不足が深刻な養蜂場に貢献したいと、はちみつを使った商品開発や販売促進、また養蜂の大切さを伝える活動を利用者の方と行っています。
川上:かなり幅広く活動を行っているのですね。
川上:様々な分野で活躍してる中井さんですが、別のジャンルでもヒーロー活動しているそうですね。
中井:そうですね。特殊なジャンルにはなるのですが、僕が福祉のことをやりだした時に、助けてくれるところ、相談できるところ、全てがありませんでした。市役所に「どうしたらいいですか」と言っても、「わからないです」と言われました。相談する先があまりない中、一つ大きな問題があります。それは、障がいがある方で、銀行口座を持っていない方が多いということです。
佐藤:口座がないということですか?
中井:そうですね。
川上:それは、持つことができるのに持っていないのですか?それとも、持つことができないのですか?
中井:「持てない」が近いかもしれないですね。銀行や国が禁止しているわけではなく、一時期悪い人たちが、障がいがある方たちの口座を、詐欺の口座に使うことが多く発生しました。
川上:そうだったのですね。
中井:そのため、障がいを持っている方の審査が厳しくなってしまっているのです。都会だと銀行を選べますが、地方だと難しい場合もあります。銀行口座を持てないと、自分で稼いだものや頑張ったものを見ることができないため、モチベーションに繋がらないのです。
やはり、何か自分で稼いでるなど、そういった実感も持ってもらいたいと思い、7・8年前からいわゆる口座、今で言ったらウォレットを専用で作れないかなという活動をしています。
佐藤:口座がないということは、決済もできないということですよね。
中井:そうなんです。しかし、国はキャッシュレス化しようとしていますよね。
佐藤:障がい者の方にしてみると、生活がしづらくなるということですね。
中井:7・8年前から勉強して、自分自身がどうしたらそういうシステムを作れるのか考えたのですが、なかなか難しいということがわかりました。そんなとき、そういうライセンスがある会社の社長さんが「ぜひやろう」といってくださいました。万博の時に発表し、年内中には完成しそうです。
川上:決済ができるような形ですか?
中井:そうです。よくある◯◯payに近いですね!
佐藤:日本中の障がい者の方が使えるようになると、喜ばれますよね。
中井:そうですね。銀行よりも送金手数料などが安いですし、便利だと思います。
川上:幅広い活動をされている中井さんですが、そのモチベーションはどこにあるのですか?
中井:やはり、利用者の方が、「自分はこういうことがしたいのだ」と目標や夢を持ってもらって、そこに向かって頑張っていく姿や笑顔を見ると、この子達を笑顔にしたいと強く思います。
佐藤:私たちのモチベーションは笑顔ですからね。
川上:中井さんのお話を聞いて、国の政策を待ったりせずに、自分たちで動いていくっていう姿勢が大切だと知れましたし、本当に素晴らしい活動だなと感じました。本日は、ありがとうございました。
一同:ありがとうございました。

